PBX(主装置)とは「Private Branch Exchange」の略で、複数の電話機やデバイスを接続し、効率的に外線を振り分けたり、内線同士の接続制御を行う「電話交換機」のことです。
PBX(主装置)がなければ、内線電話や外線の転送などは行えません。
簡単にいうと、PBXはオフィスやコールセンター内の「小規模な電話局」のようなものです。PBX(主装置)により自社内に独自の通話網を作り、加入者電話網と接続したり、別拠点に設置されたPBX(主装置)と相互接続したりします。
これによって外線通話の制御や、社内を始め複数拠点間での無料の内線通話を実現します。
PBX(主装置)の仕組みと5つの基本機能
オフィスの拠点にあるすべての電話機はPBX(主装置)に接続されており、用途に応じて接続する電話機を切り替えています。
たとえば、内線電話をかける場合は2台の電話機は直接接続されておらず、PBX(主装置)を経由して通話する形式です。外部からの着信を受ける場合には、PBX(主装置)は指定された複数の電話機につなぎます。
一般的な家庭用電話機は、1回線につき1台の電話機を使用するのが基本ですが、PBX(主装置)を使えば1回線の契約で複数の電話機を使用することができます。
また、1つの拠点内で同一回線を使用するため、内線同士の通話や、同じ電話番号で複数の電話機からの発着信が可能です。
次に、基本的なPBX(主装置)の機能について見て行きましょう。
PBX(主装置)を導入することで、具体的に以下のことが実現できます。
1.発着信の制御・・・直通と内線番号の紐づけが可能
PBX(主装置)は、外線通話の発着信を制御します。具体的には、会社の代表電話番号の他、部署ごとの直通番号を管理することが可能です。
2.内線同士の通話機能・・・従業員同士の転送・不在時の内線転送などが可能
PBX(主装置)によって、オフィス内の内線通話も可能となります。
同じフロアだけでなく、別の階や距離的に離れた別のオフィス・支店などを接続することができます。また、単に内線通話だけでなく、一度受けた外線電話をオフィス内のほかの従業員へ転送する機能も使えます。
デジタル的な処理が可能なPBX(主装置)は、数千台以上の接続が可能で、大規模オフィスにも対応可能です。
3.代表番号宛の着信接続・・・代表番号宛の電話を作成したグループの中で通話をつなげる
代表電話番号宛にかかってきた電話を、あらかじめ作成しておいた内線グループの電話機へ着信させることができる機能になります。
グループ内で空いている電話番号につなぐ、事前に設定した優先順位に従ってつなぐなど、さまざまな設定が可能です。
4.パーク保留・・・保留中の通話を別の電話機で引き継げる
保留にした通話を、別の電話機で引き継げるようにする機能です。
このパーク保留機能の優れたところは、かかってきた電話機だけでなく、別の電話機でその通話を再開できることです。
この機能により、保留時の速やかな通話の再開が可能となる他、担当者の負担軽減にもつながります。
5.スマートフォンなどへの転送・・・従業員のスマートフォンを内線化して転送を可能にする
最近のPBX(主装置)では、従業員のスマートフォン(携帯)を内線化する機能を持ったモデルも増えています。たとえば外出中に顧客から営業担当宛てに電話がかかってきた場合、その電話を営業担当のスマートフォンに転送できます。
PBX(主装置)の価格は、回線容量や必要な内線の数、機能(web会議機能、ボイスメールなどの有無)によって異なります。
中小企業向けで数十万程度、大企業向けのハイエンドモデルになると数百万~数千万円を超えるものもあります。
また、専用機器を設置するための工事費など初期費用が高く、ランニングコストなども発生するため、台数や予算、必要な機能などを比較しながら導入するサービスを決める必要があるでしょう。
企業用PBX(主装置)は主に3種類
デジタルの進化に伴い、PBXの種類も増えています。現在では、社内に専用の機器を設置する「レガシーPBX」、社内LANを利用するタイプの「IP-PBX」、クラウド上のシステムに接続する「クラウド型PBX」といった3つの種類がメインとなります。
-従来型PBX「レガシーPBX」
従来型PBX「レガシーPBX」は、昔から使われてきた、電話回線を利用する方法で、オフィスにPBX(主装置)を設置し、主装置と各電話機を線でつなぐことでコントロールします。
従来型PBX「レガシーPBX」には、ハッキングの心配がない、通話品質が非常に高い、月額料金が必要ない(リースの場合は月額リース料金がかかる)、といったメリットがあります。
デメリットとしては、機器の設置や配線工事が必要なため導入費用や手間がかかる、機器の保守管理が必要なため、利用できるのは一定の費用がかかる、PBX(主装置)でつながっている電話機のみで、外出や出張先など、オフィス外では利用できない点です。
従来型PBX「レガシーPBX」の参考導入費用は、以下のとおりです。
月額料金が必要ないとはいえ、初期費用は高額になることが多いです。
導入費用(機器代+設置料金):数百~数千万円
電話機:2~3万前後/1台あたり
(長年使われてきたレガシーPBXですが、近年はほかの種類のPBXが注目され普及しています。
現在でもレガシーPBXを採用している企業は多いですが、今後ほかのPBXへの移行を考える企業は少なくないでしょう。)
-IPネットワークを使った最近主流の「IP-PBX」
IP-PBXは、電話回線ではなくインターネット回線を利用したPBXです。
オフィス内にPBX(主装置)を設置するか、自社サーバーにIP-PBXのソフトをインストールして利用します。
すでにオフィス内で社内LANが構築されていれば、面倒な工事をする必要はなく、比較的簡単に導入できます。
IP-PBXの最大のメリットは、電話機だけでなくスマホタブレットを内線化できるということでしょう。
オフィス内のWi-Fiに接続すれば、スマホやタブレットをビジネスフォン子機のように利用できます。
インターネットに接続さえできれば利用できるので、外出中の社員と内線通話ができたり、出先から会社代表番号で顧客に電話をかけることも可能です。
また、通話料金の安さも魅力的です。距離に関係なく一律8円前後/3分と、加入電話と比較すると非常に安価です。
デメリットは、社内LAN環境がない場合は一から導入する必要があり、手間やコストがかかります。
またIP-PBXで設置する機器やインストールするソフトが高機能だと、料金が高額になる場合があります。導入費用の目安は以下の通りです。
導入費用(機器台+設置料金):数万~数百万円
電話機:2~3万前後/1台あたり
レガシーPBXよりは導入費用が安価とはいえ、後述するクラウドPBXと比較すると高くなる場合が多いでしょう。
-次世代型「クラウドPBX」
クラウドPBXは、クラウドサービスを利用する次世代のPBXです。
IP-PBXと同様にインターネット回線を使いますが、オフィス内にPBXを設置するのではなく、クラウド上の仮想PBXを利用するのが特徴です。
クラウドPBXも、IP-PBXと同様に電話機だけではなく、スマホやタブレットなどの端末で利用することができ、ネット環境さえあれば場所に制限なく使用できます。
外出先やテレワーク中など、オフィスの外から会社の代表番号を使って発着信ができ、さらに、離れた場所にいる社員同士で内線通話ができるため、通話料の削減にもなります。
大掛かりな配線工事が必要ないため、IP-PBXよりも導入がスピーディなのも特徴の一つです。
また、クラウドPBXは通話料も安く、距離に関係なく3分8円前後で通話ができ、加入電話と比較すると格段に安いことが分かります。
そのほか、顧客情報表示や勤怠管理など、さまざまなオプション機能も利用可能です。
気になる目安料金は、以下の通りです。
クラウドPBX導入費用:サーバー登録やシステム設定など
1~10万円ほど(ベンダーにより変動あり)
電話機
無料(社員のスマホなどを使う場合)
デメリットとしては、初期費用がかからないかわりに、月額料金1,000~2,000円前後/回線(ベンダーによる)やオプション利用料金:1,000~5,000円(機能による)がかかることや、通話品質が劣る機種もあるということです。
通話品質については、クラウドPBX全体のデメリットというより、ベンダーによります。
導入実績などをチェックして、安定したサービスを提供している会社を選ぶと良いでしょう。
まとめ
PBX(主装置)とはどんなものか、主要PBX(主装置)のタイプと選び方の注意点について解説しました。
どのPBX(主装置)にもメリットとデメリットがあるため、自社にとってどんな機能が必要か、オフィスの規模や業種によって選ぶポイントが変わってくると思います。
どのタイプが良いか迷われたら、ぜひお気軽にオフィス電話本舗までお問い合わせください。
スタッフ一同お待ちしております!