ウイルスはパソコン上で実行しなければ被害及ぼすことはありません。
このため、ウイルス対策の1つは怪しいプログラムを実行しないことになります。
これはこれで正しいのですが、このように書くとウイルスはプログラム、要するに実行形式ファイルに限定されるように思います。
実行形式ファイルとは、これまた非常にざっくりいうと「ダブルクリックすると何かお仕事を始めることが多いファイル」のことです。
確かに一昔前はそうでした。拡張子が「.exe(ドットエグゼ)」あるいは「.com」以外のファイルがウイルスあるいはウイルス感染ファイルである心配はありませんでした。
ところが、プログラム以外にも感染するウイルスが出現しました。マクロ・ウイルスやスクリプト・ウイルスの出現です(マクロ・ウイルスをスクリプト・ウイルスに含める場合もあります)。
マクロ・ウイルスとは文字通り、マクロに潜んだコンピュータ・ウイルスのことです。
マクロとはアプリケーションソフトの中で使用する複数の命令(コマンドと呼ばれるもの)の実行手順を記述しておいて必要な時に呼び出してまとめて実行する機能のことです。
マクロは、いくつかのタスクを自動化するのに役立つ一連のコマンドとアクションであり、通常は非常に短く単純なプログラムです。
どのように作成されても、保存されたコマンドを解釈するシステムによって実行される必要があります。
一部のマクロシステムは自己完結型のプログラムですが、ユーザーが一連のコマンドを簡単に繰り返したり、開発者がローカルのニーズに合わせてアプリケーションを調整したりできるように、
複雑なアプリケーション (ワードプロセッサなど) に組み込まれているものもあります。
マクロを記述するための言語を「マクロ言語」などと呼びます。現在では多くのソフトウェアがマクロを備えています。
中でもワープロソフトの『Microsoft Word』や、表計算ソフトである『Microsoft Excel』の備えるマクロがよく利用されます。
マクロウイルスのほとんどはこれらのソフトウェアの文書ファイルに感染します。
マクロウイルスが感染している文書ファイルを対応するアプリケーションソフトで開くと、そのパソコンのアプリケーションソフト(正確にはアプリケーションソフトのテンプレートファイル)に感染します。
以後、そのアプリケーションで開いたり新規作成した文書ファイルに感染を広げます。
感染するだけではありません。マクロを使えばアプリケーションを介して、パソコン内の既存ファイル(これは文書ファイルに限りません)を操作したり、メールを勝手に送信したりすることなどが可能です。
マクロが多機能であることが、かえって仇となるのです。