
インカムとは、マイクとヘッドフォンが一体化した無線機器で、正式名称を「インターコミュニケーションシステム」と言います。ちなみにインカムという名称は和製英語となり、英語での「income」は、収入を意味する言葉で、英語では「headsets」と呼ばれます。
もともとは有線で親機と子機をつなぎ、複数人が双方向で同時にコミュニケーションを取れるようにしたものですが、現在では無線の機器が主流となっています。
コールセンターなどで電話機に接続して使用するヘッドセットを「インカム」と呼ぶ場合もありますが、双方向でコミュニケーションが取れるという性質を活かして、さまざまなシーンで活用されています。
インカムの特徴
インカムの仕組みは基本的に電話と同じで、通信をする人同士で双方向での会話が可能です。
電話と異なる点は、話し手1人の会話および送話者と受話者の会話を、複数人が同時に聞けることです。
一度の発信で、インカムを使っている全員に指示が伝えられるため、情報伝達を早く進められるメリットがあります。
インカムの使い方
一般的にインカムとは無線式のものになりますが、受信方式には、「単身方式」「半複信方式」、そして「複信方式」の3種類に分かれます。
単身方式・半複信方式の特徴
「単身方式」は送信機と受信機で同じ周波数を使用する通話方式で、誰かが送信している時に他の人は送信できません。
「半複信方式」の通信形態は単身方式と同じで交互に行う形ですが、単身方式と異なるのは、送信機と受信機の間に中継器を挟んで単信通話を行うことです。
中継器を挟むのは複数の周波数を使用するためで、それによって通信をより広域に広げることが可能です。
いずれも1人が話している間、他の人は受信のみでき、2人以上が同時に送信者になることはできません。
指示や連絡事項などを複数の人に伝える時などに向いていますが、コミュニケーション取りながら話を進めたい時には少し不便に感じるかもしれません。
単身方式および半複信方式の使い方の手順
・まず電源を入れてから受信チャンネルを合わせる
・送信者は通話ボタンを押しながら話す
・ヘッドセットやイヤホンマイクなどインカムの使用に必要な器具を装着すると、同じ周波数を使用している全員に音声が伝わる
・通話の終わりに「どうぞ」と付け、相手に通話終了を伝える
複信方式の特徴
「複信方式」とは、送信と受信で別の周波数を使う通信方式で、同時に通信することができます。
簡単に言うと、通話中に送受信を切り替えることなく携帯電話と同じ感覚で同時通話ができるため、コミュニケーションをしっかりとりたい場合に向いています。
携帯電話とほぼ同じと考えて差し支えないでしょう。
複信方式の使い方の手順
・送受信するどちらか一方が通話ボタンを押して相手を呼び出す
・呼び出された相手が応答すると通話が開始
・どちらか一方が、再度通話ボタンを押すと通話が終了
インカムの活用例
1.小売業界(スーパーマーケットやアパレルなどの販売店)
インカムの使い方は店舗のジャンルや規模によって異なりますが、呼出ボタンや館内放送をはじめ、効率的な連絡ツールとして使用されています。
インカムの特徴で述べたように、インカムは職員全員に対し一斉に連絡・伝達が可能なため、主に他のスタッフの居場所や商品在庫の確認、専門スタッフやレジなどの応援依頼をしたり、急病人や災害時などの緊急対応にも役立ちます。
レジの混雑時にお客様をお待たせすることなく案内ができますし、緊急の場合にも従来の館内放送とは異なり、従業員のみにスムーズな全体連絡を行うことが可能です。
2.医療・介護(大病院や医療センター、介護施設など)
おもに大きな病院や医療センター、介護施設あどで働くスタッフの間で使用されています。
携帯電話とは異なり、インカムは職員全員に対して一斉に連絡・伝達が可能です。
たとえば内線がつながらない場所で職員一人での対応が難しい場合、以前は大声で叫んだり、走って呼びに行くなど、コミュニケーションが取りづらいことで、職員はストレスや不満を溜めがちでした。
インカムを導入することで、緊急の呼出はもちろん、職員間の意思伝達や情報共有がスムーズに行えるため、安心感や精神的な余裕を持って業務にあたれます。
また、報告・連絡・相談をこまめに行えるため、連帯感が高まり、職員間のチームワークの強化にもつながります。職場のムードも良くなり、働きやすい職場づくりに役立つでしょう。
3.警備
インカムの使用により、ほかの警備員や本部への連絡や迅速な情報共有ができるため、警備中にトラブルが発生した際に素早い対応が行えます。
また、運転中の連絡ツールとしても有効です。
運転中の携帯電話の使用は法律で禁止されていますが、インカムは道路交通法で禁止された「手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができない無線通信機」ではないため、使用可能です。
現金や貴重品の輸送など、運転を伴う重大な警備にあたる場合でも、スムーズに情報の伝達や共有が可能です。
まとめ
インカムには、ヘッドセットが付いた無線機器で双方向通信が可能という特性を持ち、さまざまシーンで活用されています。
小売業界や医療・介護業界、警備会社をはじめ、鉄道や宿泊施設、建設業、工場や配送センターなど、幅広く活用することができ、用途に合わせた使い方ができるのもインカムの魅力です。
インカムを導入することによって、業務効率化はもちろん、人員不足の緩和や働き方改革にもつながります。
多くのメーカーでさまざまな種類が販売されていますが、ビジネスで使用する際には自社に必要な機能が備わっていて、使用に負担の少ないものを選びましょう。