ビジネスフォンを購入・修理する際、機器代金や工事費用を会計処理する必要があります。
ビジネスフォンの購入費用や工事費用は、消耗品などになるのか、もしくは資産になるのかご存知でしょうか?
今回は、ビジネスフォンの会計処理や減価償却、耐用年数について解説していきます!
電話工事の勘定科目
ビジネスフォンの会計処理は、電話工事とビジネスフォン本体(電話設備)の2つに分かれます。
ビジネスフォンの設置にかかる工事費は、通常「通信費」の勘定科目として処理します。
NTTや光回線なども工事が発生したら、通常の回線の請求書に合算されてくるためです。
しかし、会社によっては「支払手数料」や「修繕費」に該当する場合もあるので注意しましょう。
もし工事費の内訳などでよくわからない、不安ということがあれば、税理士の方に相談すると良いでしょう。
ビジネスフォン(電話設備)の会計処理
ビジネスフォンは主装置(PBX)・ビジネスフォン本体・電話ケーブルによって構成されており、どれか一つ欠けても利用できないため、設備一式という扱いになります。
このため、消耗品ではなく、減価償却資産としての計上になる場合が多いでしょう。
設備一式の取得価格によって、ビジネスフォンの会計処理は以下の通りです。
-10万円未満
消耗品費として計上。費用として損金算入ができるため、法人税を減らすことが可能。
-10万円以上30万円未満
備品費として計上。本来は減価償却か一括償却が必要であるが、「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」に該当すれば損金算入が可能。
-30万円以上
備品費(資産)として計上。耐用年数に応じた減価償却が必要になる。
社員数が少ない小企業や創業間もない企業の場合は、30万円未満でのビジネスフォン導入がおすすめです。
また、「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を利用すると30万円未満まで損金処理も可能です。 ※累計で300万円まで
詳細は以下のページでご覧になったり、税理士の方に相談してみると良いでしょう。
少額減価償却資産についてのリンク
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/shokyak_sis.html
消耗品・備品・固定資産の違い
ビジネスフォンは以下のように、消耗品・備品・固定資産という3つの勘定項目に分類することができますが、費用の処理としては、10万円を超すかどうかが大きな分かれ目となります。
-消耗品
耐用年数が1年未満で、取得価額が10万円以下のもの。
-備品
耐用年数が1年以上で、取得価額が10万円以上20万円未満のもの。
-固定資産
耐用年数が1年以上で、取得価額が20万円以上のもの。
消耗品や備品(特例措置適用)として扱えば一括で損金処理が可能となりますが、固定資産として扱えば減価償却が必要になります。どう処理するかによって、法人税の金額も変動するため注意が必要です。
耐用年数とは
取得価格が一定以上のビジネスフォンは減価償却が必要ですが、その際大きく関わるのが耐用年数です。
耐用年数とは「減価償却資産の利用可能な年数の見積もり」のことで、正確な計測が難しい機器の耐用年数を法律で定めています。
ただし、耐用年数が定めているのは新品で購入した商品に限られており、中古の場合は条件が変わってきます。
中古の耐用年数は、簡便法という手法によりご自身でも計算可能です。
具体的には、以下のような基準で耐用年数を計算します。
・法定耐用年数が全て経過している中古商品:法廷耐用年数の20%
・法定耐用年数が一部経過した中古商品:法定耐用年数から経過年数を引いて、経過年数の20パーセントを足す
会社で使うあらゆるものに耐用年数は設定されており、その範囲は建造物・車両・工具・器具・生物に及びます。減価償却を行う際は、法定耐用年数をしっかり確認しましょう。
ビジネスフォン(電話設備)の耐用年数
それでは、ビジネスフォンをはじめ、
(PBX)や電話ケーブルなど電話設備の耐用年数をみていきましょう。
これらの電話設備は「事務機器・通信機器」に該当し、法定耐用年数は以下のように設定されています。
・主装置(PBX)・、ビジネスフォン:耐用年数6年
・電話ケーブル:耐用年数10年
耐用年数はあくまでも法律で定められたものであり、メーカー、機種、利用状況にもよりますが、実際には10~15年ほど現役で稼働するビジネスフォンもあります。
このため、必ずしも耐用年数の期間内で交換する必要はありませんが、メーカー保証やサポートが切れてしまうデメリットもあるので注意が必要です。保証やサポートが切れてしまうと、故障や破損があっても自己責任となり、修理費用も高額になってきます。
既に販売終了しているような古い機種の場合、部品も製造終了となっていることもあり、修理不可ということも有り得ます。
とはいえ、耐用年数が切れるごとに新品を導入すると高額になり、企業にとって小さい負担ではありません。費用を抑えたい場合は、中古品の導入・レンタル・リースの利用も検討しましょう。
長期的に利用するビジネスフォンは、コストと耐用年数のバランスが重要です。
レンタル、リースの場合の会計処理
購入ではなく、レンタル、リースの場合は費用として処理することができます。
レンタルは「賃貸料」、リースは「リース料」という勘定科目になります。
リースについては「ビジネスフォンのリースを分かりやすく解説してみた!」で詳しく解説しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
※「ビジネスフォンのリースを分かりやすく解説してみた!」リンク
レンタルやリースの魅力は何といっても、初期導入費用が大幅に抑えられることですが、全額経費として計上できることや、固定資産税がかからないといったこともメリットになります。
減価償却や固定資産税の手続きも不要となるので、人員が少ない中小企業にとってありがたい制度です。勘定科目としては「リース料」「賃貸料」などがあります。
まとめ
ビジネスフォンの会計処理を正しく理解することで、事務処理の簡略化やコスト削減を実現することができます。勘定科目や減価償却についてしっかり把握し、確定申告の際にスムーズに処理できるようにしましょう。
もし悩んだ場合には、税理士の方に相談したり、税務署で行っている相談会に参加するのも良いでしょう。