企業でビジネスフォンを導入する際、固定電話にするかIP電話にするか、自社にどちらが向いているか分からない、と悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、この記事ではIP電話と固定電話の違いや導入の注意点について解説していきます。
自社にはIP電話と固定電話のどちらが適しているか、IP電話の特徴や導入する場合の注意点についても理解できる記事となっているので、ぜひ最後までお読みください。
IP電話とは
IP電話とはインターネットプロトコル(Internet Protocol)の略称で、簡単に言えば3G/4G/5Gなどのインターネット回線を利用して通話する電話のことです。
IP電話は固定電話に比べて通話料金が安く、回線の新規開設も簡単にできるサービスで、PCやスマートフォン、固定電話機でも利用できます。
各種プロバイダによって提供されるサービスは、大きく以下の3種類に分かれています。
0AB-J型
0AB-J型は従来の固定電話と同じように、東京「03」大阪「06」などの市外局番を利用するIP電話のことです。
0AB-J型の番号を用いてIP電話を利用するには総務省の定めた基準をクリアしなければならず、「接続品質」「総合品質」「安定品質」「ネットワーク品質」の4つ項目が定められています。
050型
050型では「050」から始まる11桁の数字が電話番号に割り当てられます。050型には市外局番が含まれていないため、発信地を特定されにくいという特徴をもちます。
ただし、0AB-J型のように基準が定められていないため、通話品質は0AB-J型の方が高めです。
電話番号不要型
電話番号不要型とは、電話番号の取得が不要なIP電話で、代表的なものにLINEやSkype、ひかり電話などがあります。
スマートフォンやタブレットなどにアプリをインストールして通話をするIP電話のほとんどは、電話番号不要型と考えて良いでしょう。
VoIP(Voice over IP)技術を利用し、インターネットのサーバーを通して音声をデータ情報に変換してデータのやり取りを行う方式です。
固定電話とは
固定電話とは一般的にアナログ回線を使った電話サービスを指し、設置された場所から有線が届く範囲で通話ができる固定型の電話機のことを言います。
ダイヤル回線やプッシュ回線のようなアナログ回線、もしくはISDNのようなデジタル回線を介し、電話局の電話交換機を経由して音声通話を行う仕組みです。
現在では、インターネットの普及によりIP網を利用した固定電話もあります。
近年は携帯電話(スマートフォン)が普及したことにより、自宅に固定電話を設置しない方も増えてきました。
一方で、現在も固定電話を設置している企業が多くあります。ビジネスシーンにおいては、固定電話を導入するメリットが大きいためです。
企業で使用される固定電話、いわゆる「ビジネスフォン」は、主装置(PBX)を設置する必要がありますが、電話機と接続することで、家庭用電話機にはない様々な能力を発揮します。
IP電話と固定電話(アナログ電話)の3つの違い
IP電話と固定電話の主な3つの違いについて見ていきましょう。
1.導入費用と通話料金
IP電話は固定電話と比べて、導入費用も通話料金も安価です。主装置(PBX)の設置などの工事や電話加入権を取得する必要もなく、インターネット回線を介してやり取りするため、距離に関係なく通話料金が一定であるためです。
同じ会社のIP電話(アプリ)同士であれば、通話料金が無料になるサービスも登場しています。
2.電話番号
アナログ電話では「03」「06」などの市外局番から始まる10桁の電話番号が付与されますが、IP電話ではこの「03」などの市外局番が使用できず、代わりに「050」から始まる11桁の電話番号が付与されます。
業務内容などによりできれば電話番号を変えたくない、という場合は、光回線のIP電話サービス「ひかり電話」であれば、「050」番号ではなく「03」などから始まる電話番号がそのまま使用できます。
3.通話品質
通話の品質は、有線の回線を利用する固定電話の方が優れています。
IP電話はインターネット回線を利用して通話するため、通話品質は電波状況に左右されがちなためです。
ただし、NTT東日本とNTT西日本が提供する光回線を利用した「ひかり電話」なら、通常のIP電話より高品質での通話が可能です。
IP電話を利用する場合の注意点
IP電話には導入の手間が少なく料金が安いなどのメリットがある反面、気を付けなければならない点がいくつかあるのでご紹介します。
・フリーダイヤルや緊急時のダイヤルが使用できない
ほとんどの場合、IP電話でフリーダイヤルは使用できません。
フリーダイヤルを使用するには、電話回線の利用が必要なためです。また、電話番号不要型及び050型のIP電話では、110番や119番といった緊急通報電話は使用できません。同じIP電話でも、0AB-J型は緊急通報電話の使用が可能です。
IP電話導入の際は、フリーダイヤルや緊急通報電話が自社に必要かどうかも考慮に入れましょう。
・インターネット回線の影響を受ける
IP電話はインターネット回線を利用するため、インターネットの接続状況が悪いと通話に影響が出てしまいます。
インターネット回線が混雑したり障害や不具合が起こった場合は、通話が途中で切れてしまったり、繋がらなくなることも考えられます。
・SMSの使用はできない
ほとんどのIP電話ではSMSが使用できません。一部の050型のサービスではSMSの使用が可能ですが、IP電話では基本的にSMSは使用できないと考えておきましょう。
まとめ
IP電話にも固定電話にも、それぞれメリット・デメリットがあります。
固定電話は基本的に持ち運びができず、導入費用や通話料金は高めですが、通話品質が安定している、フリーダイヤルや緊急通報電話が使用できるなどのメリットがあります。
対して、IP電話は工事などの手間がなく、導入費用や通話料金が安価で手軽に導入しやすい反面、フリーダイヤルや緊急通報電話が使用できない、通話品質が不安定というデメリットもあります。
どちらが良いというよりも、自社にどんな機能が必要か、向いているのはどのタイプなのか見極めることが肝心です。
オフィス電話本舗では、ビジネスフォンの導入から工事・メンテナンスまで、幅広い対応が可能です。
ビジネスフォンの導入を検討している、自社に合うタイプが分からない、という方はぜひオフィス電話本舗までお気軽にご相談ください。